2014年12月6日土曜日

仏女性歌手Zaz(Isabelle Geffroy, 1980年5月1日フランスのTours生)について調べてみました。

ZazのOn ira(We are going)から遠藤周作、Ella Fitzgerald、Dooley Wilsonを思う-


Piafの再来と言われている仏女性歌手ZazのOn iraは聴けば聴くほど深みと味わいが感じられます。次の部分が特に好きです。

Oh qu'elle est belle notre chance, Aux mille couleurs de l'être humain, Mélangées de nos différences, À la croisée des destins.

この部分は英語では、次のように訳されています。

Oh what luck do we have, The thousands of colors of the human being, Mixed to our differences, At the crossroads of destiny.

日本語にするとこんな感じでしょうか。

「おお、なんて私たちは運が良いのだろう。いろいろな肌色と価値観をもつ人がいる。私たちは運命の十字路で出会い、その違いで混ざり合うのさ」。

沈黙する神はサイコロをふって私たちに語りかけている


生きていけばそれだけでいろいろな人とめぐりあい、お互いに影響を与え合い、暫くすれば離れていきます。

そのときに気づかなくても後から考えてみれば、ある人との出会い、その人の何気ない言動が自分の人生に大きな影響を与えていることがあるとわかることがあります。

遠藤周作はそれを、神がサイコロを振っている、神は沈黙しつつも人々の出会いと別れに影響を及ぼして人々に語りかけていると解釈しました。

私はZazのOn iraを聴きながら遠藤周作の文章を思います。

「しかしこの人生で我々人間に偶然でないどんな結びつきがあるだろう。人生はもっと偶然というやつが働いている」(「私が・棄てた・女」(講談社、p25)

この部分は英語訳では次になっています。

But which encounters in our lives do not stem from chance? And yet chance plays an even greater part in other events during the course of our lives.

ZazはHusky voiceですが相当な声量があります。Monmtartreの街頭で何年も歌っていたのですから、声量がなければ通行人に聴いてもらえない。

この部分を聴くと、ふと自分のそれまでの人生で出会った沢山の人々の姿や声が心の中で蘇ってくるようです。

Zazが影響を受けた音楽家-Vivaldi, Ella Fiutzgerald, Enrico Macias, Bobby Mcfferrin, Richard Bona


ZazについてInternetで少し調べてみました。

Isabelle Geffroy(のちのZaz)は5歳でToursのConservatoire(音楽・演劇学校)に姉、兄と入っています。そこで11歳まで勉強しました。

バイオリンやピアノ、ギター、コーラスそしてsolfège (イタリア語で、音楽の教育方法を意味する)を学びました。

1994年に両親が離婚し、3人の子供たちは母親についてLibourne、そのあとBordeauxに行きました。95年にIsabelleは 歌の講義をとりました。

中学三年の頃になりますから、歌を学ぶ特別なコースに入ったのでしょうか。2000年にIsabelleはBordeauxのCIAMという音楽学校に入りました。

その頃影響を受けた音楽として彼女はビバルディの四季(Les Quatre Saisons de Vivaldi)、Ella Fitzgeraldという米国のjazz歌手、Enrico Maciasという仏のシャンソン歌手、Bobby Mcfferrin, Richard Bona等をあげています。

Ella Fitzgeraldを私はFrance Gallによる賛歌Ella, Elle l'a(Ella, she has it. Ella, 貴方には何かがある)で知りました。Vivaldiの四季は誰もが認める名曲でしょう。

私にはjazzが他の分野の歌とどう異なっているのかよくわかりませんが、ピアノの弾き語りや、リズムに強く依拠した歌い方をjazzというのでしょうか。

米国映画カサブランカ(Casablanca)のAs Time Goes by-Ingrid BergmanとDooley Wilson


米国映画カサブランカ(Casablanca)でのAs Time Goes byのような曲をそう呼ぶのではないでしょうか。

イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)の優しい語り口「Play it, Sam. I will hum it for you. Lalai Lalai La, Lalai.La」は忘れられません。Dooley Wilsonの哀しみを漂わせた歌声が心に残ります。

You must remember this, a kiss is just a kiss, a sigh is just a sigh. The fundamental things apply, as time goes by...

Internetで調べたらBobby Mcfferrinも著名なjazz歌手だということがわかりました。

Richard BonaはCameroon出身で、Jazz Fusion Bassistと出ていますが、これが何を意味するのか私にはわかりません。

Zazのリズム感溢れる歌い方はjazzの影響によるところがあるのでしょう。フランスにはjazzを幅広く支持する文化的土壌があるようです。

こういう分野の音楽をSoul music(La musique soul、魂の音楽)と呼ぶこともあるようです。Dooley Wilson, Ella FitzgeraldやZazの歌い方は魂に訴えると言われれば、そんな気もしてきます。

Zazの歌を誰かがカバーして日本にも広めたら...


言葉の壁があるので、Zazの歌が日本で幅広く受け入れられるのは困難でしょうが、誰かにカバーしてもらいたいですね。Zazの歌はかなり難しいでしょう。

真に勝手ですが、宇多田ヒカルならできそうに思えます。私には、宇多田ヒカルの歌もjazzの影響を受けているように思えます。It's automaic...のメロディーがそのように感じられます。

これがデビュー曲だったかな。宇多田ヒカルは長年米国で暮らしていますから、jazzに親しんでいるのではないでしょうか。

宇多田ヒカルのような既に著名になっている方だけでなく、、まだ無名の若い歌手に挑戦してもらいたいものです。

Montmartreの街頭で歌っていたZazや、貧困のどん底から名をなしたPiafもそれを望んでいるのではないでしょうか。













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