清掃員をやりながら画家を目指している27歳の女性Camille(Audrey Tautou)が、吃音で温和な貴族の血筋の若者Philibert(Laurent Stocker)、料理人の若者Frank(Guillaume Canet)と出会った。
映画の題名は、日本語と英語(Hunting and Gathering, 狩猟と収集?)では大きく異なっています。原題は、「一緒にいること、それが全て」とでも訳せば良いでしょうか。
この映画のメッセージは原題に最もよく表されています。
フランスには、アパートを共同で借りる習慣があります。共同借家人をcolocataireといいます。この映画は、若きcolocataire同士の物語です。
画家を目指すCamille(Audrey Tautou)が時折見せる憂いの表情が魅力的です。
若者には人生の諸課題と困難が降りかかる
若者には次から次へと人生の諸課題、困難が降りかかってきます。それらと対処せねば、何も前に進められない。
自分が望む職に簡単につけるはずもない。まずは生活の糧を得るため働かねばならない。そうこうしているうちに年を取ってしまう。その前に子供を産んで育てねばならない。
人生の諸課題に対処しよりよく生きていくためには、仲間同士で助け合おう。これがこの映画のメッセージでしょう。
しかしこの映画は若者の物語だけではない。Frankの祖母Pauletteの生き様と死に方が背景に描かれている点が面白い。
未亡人のPauletteには孫はFrankしかおらず、子供と疎遠になっている。現実のフランス社会には、こうした身の上の老人はいくらでもいるのでしょう。
Pauletteの姿は、若者に人生の終着駅を思い起こさせます。子供や孫に死んでいく姿を見せることが、老人の大事な役目なのかもしれません。
荒っぽいFrankの優しさにCamilleは惹かれた。Camilleのデッサン(素描)にも映画のメッセージ
Frankは荒っぽい気性の持ち主ですが、自分を育ててくれた祖母Pauletteを大事にしているのですから優しさも兼ね備えている。
Frankは父親と会ったことがありません。母親は子供の頃自分を棄てて出て行ってしまいPauletteのもとで育ちました。今は母親と時折会っています。
母親には12歳の子供、つまりFrankにとっては父親違いの弟がいます。弟はお菓子職人になりたいと願っているので、Frankは援助するつもりと仲間に語ります。
そんなFrankですから、穏やかなCamilleが魅かれることもありえるでしょう
画家志望のCamilleが時折、周囲の人々のデッサン(素描)を描きます。このデッサンは、生き方からにじみ出る人柄を思い起こさせます。
Camilleの素描には、お互いの個性を尊重することが一緒に生きていくための前提だというメッセージが込められているのでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿