「平壌、元山にいる親族からの手紙を長年受け取っている。以前は、手紙の冒頭に必ず『偉大なる首領様の配慮により』という表現が添えられていたが、近年はこれがない。手紙は必ず検閲されている。
なぜそうなったのかわからない。保衛部の統制が緩んだ、という話でもなさそうだが」(在日本朝鮮人総連合会関係者より)。
北朝鮮の実状を把握するためには、朝鮮労働党の文献(労働新聞、朝鮮中央通信等)と金日成、金正日そして金正恩の著作を読み解く事は欠かせません。
同時に、脱北者と親族が北朝鮮にいる在日本朝鮮人総連合会関係者から、北朝鮮の最近の事情を聞き取る事が大事です。
日本にいる脱北者(元在日朝鮮人)の中には北朝鮮にいる親族と何らかの方法で連絡を取っている方がいますから。
上記は、在日本朝鮮人総連合会関係者から最近聞いた話です。
これだけで、保衛省(以前は国家安全保衛部)の帰国者に対する統制が緩んだ、などとは言えません。
他の帰国者からは相変わらず、「偉大なる首領様の配慮により」という表現がある手紙が届いているかもしれませんから。
ともあれ、保衛省による統制が緩んでいる地域が存在する可能性はあります。
金元フォンという最高幹部が処刑ないしは収容所送りにされてしまったという情報を、韓国にいる脱北者が得ています。
収容所連行を「レンガ工場へ行った」
保衛部は何らかの基準で罪を犯していると判断した朝鮮の住民宅を真夜中に訪れ、一家全員をどこかに連れていきます。
収容所か、山間僻地です。
北朝鮮の住民は、突然いなくなった隣人のことを「山へ行った」と表現します。
他に、「山へ追いやられた」「山へ送った」「レンガ工場へ行った」という表現もあるそうです。
「レンガ工場」とは、収容所を指す表現です。
この表現が北朝鮮全土で用いられているのか不明です。なぜレンガ工場なのかもわからない。
山間僻地として、私は北朝鮮の北部の山奥を想像していたのですが、38度線近くの僻地に追放される場合もあるそうです。
この場合、テレビを持っていれば韓国のテレビ放送を受信できるそうです。
これが保衛部にばれれば重罪ですが、うまく保衛部の監視網を破る住民はいくらでもいる。
北朝鮮の南部地域では帰国者は勿論、原住民(元からの北朝鮮住民を帰国者はこう呼ぶ)でも韓国のテレビ放送を受信している方は少なくない。
保衛省員は住民から外貨をまきあげる
保衛部の監視網を破る、とは賄賂などで保衛部員を懐柔することです。
保衛部は住民を収容所に連行できるのですから、強大な権限を持っていますが、外貨稼ぎをせねば生きていけない。
保衛部直轄の外貨稼ぎ会社もありますが、各保衛部員が外貨を稼ぐためには、住民から巻き上げるしかありません。
北朝鮮社会は何でも金、になって久しい。
金正恩は住民が自分を偉大だ、と思っていないことをわかっているのではないでしょうか。
金正恩は相当な精神的負担を抱え込んでいると考えられます。
張成澤が権限を奮っていた頃、中国から外貨が入り豊かになった住民は多かった。
張部長は良かった、という声なき声がありそうです。
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