2020年2月2日日曜日

畑田重夫・川越敬三著「朝鮮問題と日本」(新日本新書、昭和43年)より思う―大韓民国は米国の傀儡なのか―

「いわゆる『大韓民国』は、アメリカがその植民地支配をごまかすためにでっちあげたにせの『国家』にすぎません」(同書138-139より抜粋)。


私は早大の学生だった頃、畑田重夫先生の日米安保に関する勉強会に参加しました。

恐らく昭和55年(1980)6月頃でしょうから、40年近い歳月が流れました。

畑田先生が自分のライフワークの一つは朝鮮問題だと話されました。この本は、国際政治学者である畑田重夫先生の代表作の一つでしょう。

畑田先生はこの数年後に、東京都知事選挙に立候補されています。

松岡英夫さんの後ですから、昭和62年だったのでしょうか。

新日本出版社から出されているこの本は、当時の日本共産党の路線、朝鮮政策とほぼ一致しています。

上記のように、昭和43年当時の日本共産党と同党を支持する知識人、運動家は大韓民国は米国の傀儡論を主張していました。

これは金日成の南朝鮮革命理論そのものです。この視点から昔の日本共産党は、日韓会談粉砕、日韓条約破棄を叫びました。

大韓民国は金日成と朝鮮労働党により滅亡させられて然るべき存在という主張です。

金日成の南朝鮮革命が実現したら、韓国各地に政治犯収容所


金日成の南朝鮮革命理論の代表的文献は「すべての力を祖国の統一独立と共和国北半部における社会主義建設のために―わが革命の性格と課題に関するテーゼー」です。

この論考は新日本出版社が出していた金日成二巻選集に掲載されていますから、国際政治学者の畑田先生が知らないはずがない。

ずっと後に私はこの論文の存在を、故李命英先生(韓国の成均館大名誉教授)から教えてもらいました。

李命英先生によれば、朝鮮労働党が韓国に潜入するう工作員に徹底学習させる重要論文がいくつかあります。この論文はその一つです。

金日成の南朝鮮革命が実現したら、大韓民国は滅亡しソウルや釜山にも金日成の銅像が立ち並んだはずです。

「唯一思想体系の確立」に反対する方々は、政治犯収容所に連行されたでしょう。

畑田重夫先生のその後の著作には、私が探した限り「唯一思想体系確立の十大原則」や全社会の金日成・金正日主義化路線についての記述がない。

これらは金正日の時代に定式化されたもので、金日成の南朝鮮革命理論の発展です。

朝鮮問題をライフワークとする政治学者なら、金正日の革命的領袖論についても研究すべきでしたね。

小池晃書記局長は金日成の南朝鮮革命理論、金正日の革命的領袖理論について何か御存知なのでしょうか。

金正日の革命的領袖論の論考を、32年くらい前に日本共産党の雑誌が批判的に掲載しています。

「世界政治」とかいう雑誌でした。これには、「党の唯一思想体系確立の十大原則」の翻訳も掲載されていました。

多分、故萩原遼さんが翻訳したのでしょうね。

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