2014年5月7日水曜日

朝鮮労働党宣伝部作成「金正日将軍様とトウモロコシ粥」に学ぶ―韓国軍事問題研究院「北韓軍の不便な真実 脱北軍人のお話」p261-263より抜粋

90年代後半の「苦難の行軍」期に労働党が作成した政治思想教育話「将軍様とトウモロコシ粥」と藤本健二氏の著作「核と女を愛した将軍様」(小学館)から学ぼう


北朝鮮の現実は我々の常識とあまりにも乖離しています。


北朝鮮の現実を知るためには、北朝鮮で生まれ育った脱北者たちの話を可能な限り聞き取ることが大事ではないでしょうか。


財団法人韓国軍事問題研究院の前掲書は脱北した軍人の手記から成るもので貴重な資料です。
この本のp261-262に、「将軍様とトウモロコシ粥」という朝鮮労働党作成の政治思想教育話が掲載されています。


北朝鮮の現実を知るためには、このお話と「金正日の料理人」だった藤本健二著「核と女を愛した将軍様」(小学館)などを合わせて読むべきでしょう。


以下、前掲本p261-263から抜粋して引用します。下記の「生活総和」ですが、朝鮮学校でも子供たちがやらされています。


今でも週に1回、子供たちは金日成、金正日の「教示」「お言葉」に基づいた相互批判をやらされているはずです。

将軍様とトウモロコシ粥-朝鮮労働党宣伝部が「苦難の行軍」期に作成



人民のための講演の殆どは、労働党宣伝部が作成する。

労働党の講演は地域別、団体別、あるいは全国的に特別講演として進行される。

90年代後半の北朝鮮の住民が労働党から受けた政治思想教養に「将軍様とトウモロコシ粥」という題目の講演がある。

「米帝国主義者の社会主義共和国孤立抹殺政策により起きた苦難の行軍期、敬愛する金正日将軍様におかれては

『人民がトウモロコシ粥を食べているなら、私もトウモロコシ粥を食べます』とおっしゃった。

将軍様は一日に一杯のトウモロコシ粥を召し上がられた。

国の各地から民衆が献上する各種の補薬と栄養のある飲食物をご覧になった将軍様は

『私も人民の息子です。その愛だけを心で受け止めます』

とおっしゃり、それを国を守って戦死した英雄の家族と傷痍軍人に贈り物として送られた。

このように素朴で謙虚な金正日将軍様にお仕えする私たちは、世の中で最も幸福な人民であり首領様の福であふれ、光栄ある富強な国に住んでいる。

世の中にいくつも国があるが、このように素晴らしい国はない。我々のように幸福な人民はいない。

敬愛する金正日将軍がいらっしゃれば我々は勝利する。

奪われた祖国を求めて、草の根や木の皮で食事をすませ、強盗の日本帝国主義と闘った反日闘志の透徹した革命精神でこの時期を克服すれば、苦難の行軍は必ず我々の勝利で終わる。」


北朝鮮の住民を統制する「人民班」と「生活総和」



北朝鮮の住民生活は個人中心ではなく、100%社会組織中心に縛られている。

住民全員は、小学校の時期から死ぬまで組織生活に参加せねばならない。

相互批判と学習、講演の基本である組織生活は住民全体を一つにする神経細胞の役割を果たしている。

体制を支える組織生活を指導する中枢機関が、朝鮮労働党である。

全ての住民は各自が所属している団体別に政治学習、生活総和、技術会議など休む暇もなく各種の集まりに悩まされる。

生活総和とは、各住民が所属する組織(労働党、少年団、青年・職業・女性・農民同盟)で1週間に1度、反省の時間を持つ制度であり、そこでは自分および相互を批判する決戦場でもある。

全ての機関は日課の始まる30分前に労働新聞の社説、論評の読み合わせ会を行う。水曜学習、金曜講演、土曜生活総和がある。常に降りてくる党の特別指示がある。

北朝鮮の統治構造で住民生活の中に実際の血管のように組み込まれている末端組織は「人民班」である。

通常、3040家族で1つの人民班が構成される。人民班長は有給公務員である。班長は外部から来た見知らぬ人間を徹底的に調べる。

日本政府は対北朝鮮ラジオ放送で、藤本健二氏の著作を韓国語に翻訳して朗読すべきだ



以下は、藤本健二氏の前掲著p153からの抜粋です。日本政府はこの本を韓国語に翻訳し、対北朝鮮ラジオ放送で朗読したらどうでしょうか。


パラディッシュと(Paradis)は最高級品のコニャックだそうです。残念ながら、私にはこの酒がどのくらいの強度なのかわかりません。


現実の金正日は、「苦難の行軍」期に最高幹部たちと高級酒のイッキ飲み宴会を連日のように開催していたのです。


「将軍様と最高級酒」という政治思想教養事業を、朝鮮労働党は実施するべきなのです。以下です。


パラディッシュを3杯続けて一気に飲み干したら1500ドルやろう




 「ある日の元山招待所での宴会だった。

『この封筒には1500ドル入っている。今日は、このパラディッシュを3杯続けて一気に飲み干した者に、この封筒をやろう』

と将軍が我々を挑発した。すでにパラディッシュのイッキ飲みを経験している者はさすがに躊躇していた。

『林相鐘と藤本、前に出ろ』


すかさず将軍は、私と党経理部長である林相鐘を指名した。我々はまず1杯目を飲み干した。


将軍はニヤニヤしながら封筒を指さし、


『1500ドルはここにあるぞ』


とさらにけしかける。私は2杯目を飲み、さらに3杯目のグラスを空にした。


将軍はやるじゃないか、という顔をしながら、私に1500ドルの入った白い封筒を差し出した」




 

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