第一次対戦は欧州が主戦場だった。独仏が激戦を繰り広げた。
「戦争」というと私たち日本人は、大東亜戦争を思い起こします。米軍によって東京、大阪など主要都市が焦土化したのですから、当然でしょう。
韓国では「戦争」というと1950年6月25日からの朝鮮戦争を思い起こす人が多い。朝鮮人民軍によりソウルが徹底攻撃され、数え切れぬ程の市民が犠牲になりました。
私は15年ほど前にソウルに一年間滞在しましたが、そのときの下宿のおばさんによると、明洞というソウルの一番の観光地付近には市民の死体が数知れず重なっていたそうです。
ソウルでは何度も「解放」、奪還がなされています。市街戦のような状況も多々あったのでしょう。
第一次大戦の傷跡が残っているフランス
同様に、欧州では第一次対戦が相当数の庶民を巻き込んだ激戦でした。独仏が激戦を繰り広げました。この映画を見て改めてそれを実感しました。
この映画の舞台は、第一次対戦後のフランスです。
Audrey Tautou演じるマチルダの元に、出征した恋人マネクの死亡通知が届きます。マチルダはどうしてもそれを信じられません。マチルダはマネクの行方を必死に探します。
マネクは共に自ら負傷したという罪に問われ、ドイツ軍との最前線に送られてしまったことがわかります。他に4人の兵士が軍法会議で死刑を宣告され最前線に送られます。
恋人は死刑宣告を受け、最前線に送られた―独戦闘機アルバトロスの機銃掃射―
死刑宣告を受けたマネクらは、戦死が確実なところに行くよう上官から命じられます。マチルダはマネクがドイツ軍戦闘機により負傷させられたことを突き止めます。
アルバトロスというドイツの戦闘機による機銃掃射ですから、マネクの生存は絶望的です。それでもマチルダは恋人の死を信じられず、捜索を続けます。
この映画は何と言っても映像が素晴らしい。一つ一つの場面が名画のようです。黒沢明の映画を思わせます。
純愛物語ですが、齢を経た私でも思わず映画に引き込まれてしまいます。
マチルダの心中での「賭け」と兵士の恋人、妻の生きざま
マチルダが搜索の節目で、恋人が生きているかどうか心中で「賭け」をします。
これで更に観客が主人公に引き寄せられるようになっていきます。
このあたりが、主演女優としての見せ場なのでしょう。
Audrey Tautouの心中を表すような音楽が流れます。映画は役者の台詞と演技だけでなく音楽、撮影手法、場面の展開など総合性が問われる芸術なのでしょう。
Judie Fosterが脇役で少し出ています。激戦地から逃れるためには、ある兵士がJudie Foster演じる妻にやらせたようなこともありえたかもしれません。
筋書きがやや複雑なので、私には繰り返し観ないとよくわかりませんでした。
マネク以外の4人の死刑囚とその周囲の人物像も面白いのですが、名前や呼び名をメモなどしておかないとわかりにくい。外国人の名前は覚えにくい。
Ange、ノートル・ダム、シ・スー、バストゥーシュ(家具職人)の4人です。彼らの妻や恋人がそれぞれの生き方を貫きます。時代を精一杯生きるとはどういうことなのか、改めて考えさせられます。
一次大戦後のパリの街の様子を感じ取ることができるという意味でも、面白い映画です。
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