神はいつも、だれか人を通してか何かを通して働くわけです。私たちは神を対象として考えがちだが、神というものは対象ではありません。その人の中で、その人の人生を通して働くものだ、と言ったほうがいいかもしれません(同書p21-22より)。
普通の理解では、神は全能ですから崇拝、畏敬の対象ではないでしょうか。遠藤周作によるこのような神の理解は、基督教徒の中でも少数派でしょう。
しかし、遠藤による神の解釈により、神の存在を自分のこれまでの人生に照らし合わせて考えるということができそうです。
遠藤周作の小説の魅力のひとつは神や悪魔を、自分だけでなく歴史上の人物の生き方に照らし合わせて考えることができることです。
神はあそこにいると見つけるものではなく、心の底にある働き
遠藤によれば、神とは心の底にある働きで、あそこに神がいると見つけるものではありません。
神はある人にはおやじを通して、別の人には友達を通して、また更にある人には捨てた女や寝た女を通して、神の働きがあったはずです(同書p28-29)。
悪の中にも神の働きがあります。病気でも物欲でも、女を抱くことにでも神の働きがあるということを、遠藤は小説を書いているうちにだんだん感じるようになりました(同書p23)。
神が後ろの方から、いろんな人を通して、目に見えない力である人の人生を押して今日のその人が形成されると遠藤は語ります。
テロ国家北朝鮮の指導層の心には凶悪な力が働いているのでは
しかし、そうであるならテロ国家北朝鮮のような凶悪な人間集団の形成をどう考えれば良いのでしょう。
その中に生きている人々や、北朝鮮に拉致された人々の人生は凶悪な人間の心の底にある働きにより悲惨なことこのうえない。
北朝鮮に拉致された人々は、現代の聖人のような使命を担わされたということなのでしょうか。
金日成、金正日、金正恩そして彼らを支えてきた朝鮮労働党幹部らの心の底には凶悪な力が働いているとしかいいようがない。
暴力団員の心の中についても同じです。
朝鮮労働党は大量殺人やテロを「主体革命偉業」「南朝鮮革命」と正当化する
北朝鮮は民間航空機爆破や日本人拉致、覚せい剤や偽札製造、保険金詐欺など無数のテロ、凶悪犯罪を繰り返してきました。
北朝鮮はこれらを「主体革命偉業」「南朝鮮革命」「首領様への絶対的忠誠」などと称して正当化しています。
悪魔の所業としか言いようがありません。
遠藤によれば、悪魔とはほこりのようなものです。
目に見えないほこりがいつの間にかたまって、部屋が汚れているのと同じように人の心の中で愛を失わせるものがどんどんたまっていく、これが悪魔の働きです。
自分の救いについて絶望している状態を悪魔と言います(同書p182)。金日成は自分の救いなど考えたことがあったでしょうか。金日成には基督教の素養が多少あったはずなのですが。
金正日が後を託した妹金敬姫と義弟張成澤の悲惨な運命
晩年深刻な病に苦しんでいた金正日は死期がそう遠くないことを知っていたでしょう。金正日には救いを求める心などあったでしょうか。
金正日は自分の息子や娘たちの先行きを案じていたでしょうが、国民の生命と人権、被拉致日本人の苦しみなど全く気にかけていなかったでしょう。
金正日は息子の将来のためを思って、妹金敬姫と義弟張成澤にいろいろな遺言を残したでしょうが、張成澤は息子により処刑されてしまいました。
妹金敬姫は金正日の三回忌式典にも出てこなくなってしまいました。金日成の娘で金正日の妹である金敬姫が公の場に一切出ないのはあまりにもおかしい。
平壌の朝鮮労働党最高幹部には、金敬姫に声をかけてもらうなどした縁で金敬姫を尊敬していた人物がいくらでもいるはずです。
金敬姫は死亡している可能性もあります。金敬姫の存在をなきものにしてしまった金正恩を、金敬姫と交流のあった最高幹部が心中で尊敬などできるはずがない。
最高幹部から見れば、金正恩は首領様の娘、将軍様の妹をなきものにした恩知らずの甥っ子です。
金正恩に心中で反感を抱く最高幹部が増えている
心中で激しい反感を抱いている最高幹部は、金正恩の指令を様々なやり方でないがしろにするでしょう。
それが金正恩にばれれば、処刑ないしは政治犯収容所送りにされてしまうかもしれませんが、ばれなければ大丈夫です。最高幹部の心中はそうなっているとしか私には思えない。
こう考えると、テロ国家北朝鮮の最高幹部に対しても、悪魔だけでなく神の働きがあるような気がしてきてしまいます。
それでも、北朝鮮の凶悪行為は続いています。
ほこりがつもり重なれば山のような形を成し、あたかも自然の堆積物のように見えてきます。
自然の堆積物なら、見方によっては美しい。
人民弾圧を担当する国家安全保衛部員の心の奥底に何かが働きかけるのか
金日成、金正日、金正恩の心の中には、愛を失わせるものが山積し、凶悪行為を重ねる自分たちの姿が美しく見えてしまっているのかもしれません。
しかし、金敬姫と親しかった最高幹部は心中で、金正恩が偉大な元帥様などとありえないと嘲笑しているかもしれません。
金日成、金正日、そして金正恩を批判する出版物や放送を聴取する国家安全保衛部員は心中で徐々に彼らへの忠誠心をなくしていくでしょう。
韓国や中国東北部から流入する宣伝物だけでなく他の何かが、北朝鮮の最高幹部の心の奥底で働きかけているのかもしれません。
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