2015年1月25日日曜日

Romain Duris主演映画「ロシアン・ドールズ」(原題Les Poupées russes, The Russian Dolls)を観ました。

スパニッシュ・アパートメントの5年後、30歳になった主人公Xavierは新進小説家としての地位を築きつつあるが...「理想の恋人」はいつ現れるのか?


若者とは、何歳くらいまでの人々を言うのでしょうか。あるいは、人はいつまで若者でいられるのでしょうか。この映画はそれを私たちに問いかけています。

30歳近くになって自分にこの問いかけをできないようでは、十年などあっという間です。

少しでも良い生き方、良い人生を切り開くべく、若いうちから悪戦苦闘した人は社会的に成功していくことが多い。

実際には、人生をより良い方向に切りひらけたと思っていても、思わぬ落とし穴が待っていたりするものですが。「良い人生」という言葉の定義が、簡単なようで難しい。

社会運動家となった元恋人Martineには、3歳くらいの男の子が生まれていた


Xavierは小説家としての地位を徐々に固めつつあるのですが、生活費を稼ぐためにはテレビドラマの脚本や、他人の自叙伝などあまり望んでいない仕事もやらねばならない。

Xavierは次から次へと恋人を変える暮らしを続けています。元恋人Martine(Audrey Tautou)には3歳くらいの男の子がいるので、Xavierと前作の最後で別れてから1.2年後に産んでいるのでしょう。

Martineはいつのまにか、Globalizationに反対する社会運動家になっています。MartineがXavierに罵詈雑言を浴びせる場面があります。

Martineから見れば、Xavierの書いている小説は愛や恋のような些細なことに終始していて、重大な社会問題を扱っていないから社会的意義がない。

我々は公害、暴力、不正と戦うべきだとMartineは力説します。

MartineにはXavierがつまらない人間に見えてきてしまったのです

Martineは自分の不在中に息子の面倒をみてくれたXavierに、「寄生虫」(Parasite)という酷い言葉を浴びせてしまいます。

小理屈をこねるMartineは、実は堅実な生き方


何がGlobalization反対だ、自分の子供の世話もまともに出来ないくせに!というXavierの元恋人に対する不満は最もですが、そういうXavierには子供がいません。

60数歳で定年となってしまう人生のサイクルを考えると、30歳ならもう子供が一人くらいいるか、いなくても今後の人生計画を考えねばならない。

小理屈をこねるMartineは男性(男の子の父親)と別れたが、子供を育てていないXavierより、実は堅実な生き方をしているのかもしれない。

このあたりにも映画作者のメッセージがあるのでしょう。

Xavierと旧友Wendyの関係進展は意外-WendyはXavierの不完全さに惹かれた


Xavierの旧友、英国女性Wendyとの再会後の関係進展は意外でした。前作でも意気投合していましたが、恋愛感情は描かれていなかった。

WendyはXavierの不完全さ、欠点に悩む姿に自分は惹かれたと告白します。そういう女性もいるでしょうけれど、そういうタイプの女性ならWendyのように男性歴を重ねないのではと思いました。

Wendyの弟はロシアのバレリーナに恋をし、サンクトペテルブルグまで出かけます。

前作で単なるやんちゃ坊主のようだったWendyの弟は、随分成長しました。

バレリーナの心を射止めるため、ロシア語を一生懸命勉強するのですから。

ロシアのバレリーナ、ナターシャが細身でとても可愛らしい。

XavierとWendyの関係は、前作を見ていないと理解しにくいでしょう。

30歳になり、もう若くない自分は一体どう生きるべきかと悩んでいるXavierの姿が共感を呼びます。

30歳をとうの昔に過ぎた私には自分の30歳の頃が思い出されてきました。

30歳ならまだまだ若いのですが、ぼんやりしているとすぐに40歳になってしまう。それを30代の皆さんに知っていただきたいものです。

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