最後の白頭血統、金慶喜(金敬姫?)がなぜ金日成逝去20周年の記念式典にも出なかったのか
金慶喜はもう亡くなっているのかもしれません。それを金正恩は表に出せないのです。
韓国・朝鮮人は、血統を重視します。韓国・朝鮮人はそれぞれ~金氏、~李氏というように出身地の名称で区別しています。
金日成もどこかの~金氏のはずなのですが、これはわかりません。同じ姓で、出身が同じだと、同じ祖先をもつ親戚ということになりますから結婚はできないという慣習があります。
北朝鮮では金日成と奥さんの金正淑、長男金正日を白頭山三代将軍と呼びます。
金日成と金正淑らパルチザンが中朝国境の白頭山を根拠地にして日本帝国主義と長年戦い、ついに朝鮮を解放したと北朝鮮では幼児の頃から住民を洗脳しています。
金正日は白頭山の密林にある小屋で生まれ、パルチザンの部下たちは金正日の誕生を「光明星将軍が生まれた」と祝ったそうです。
現実には、金日成と一味は山賊行為をやっていたので日本軍に討伐され、ソ連領に逃げてしまいました。金正日はハバロフスク近郊で生まれました。
白頭山三代将軍などではありえないのですが、ともかく北朝鮮の人々はこの作り話を信じています。北朝鮮当局は、自分たちが金日成民族であるという主張を時折しています。
金正日は妹金慶喜を深く愛していた―若くして母金正淑は亡くなった―
北朝鮮ではそんな宣伝が日常的に長年されてきましたから、金日成と金正日に長年仕えてきた労働党幹部の中では金慶喜の権威は相当なものがあったはずです。
特に金正日は、妹金慶喜を深く愛していたはずです。金慶喜は1946年生まれで、金正日より5歳下です。
母の金正淑は、1949年9月22日、子宮外妊娠で子供を死産し、自分も亡くなったようです(孫光柱「金正日レポート」、ランダムハウス講談社、p36)。
金正日は8歳、金慶喜は僅か3歳でした。想像ですが、金正日は母親が苦しみながら亡くなっていく姿を妹金慶喜とともに見ていたのではないでしょうか。
金正淑は31歳の若さでした。幼い金正日に、金慶喜のことを託して亡くなっていったかもしれません。金正日の脳裏には、苦しみながら娘を自分に託して亡くなった母親の姿が生涯残っていたのではないでしょうか。
金正日は、母親なしで育たねばならなかった妹金慶喜が何かにつけて不憫でどうしようもなかったのではないでしょうか。幼いころの金慶喜は、母が恋しくて兄の前で泣いたかもしれません。
高齢になってからの金正日と金慶喜がともに映っている写真を見ると、よく似ています。とても仲が良さそうです。
独裁者となってから金正日は部下たちに、「金慶喜の言葉は自分の言葉だ」と言っていたそうです。そんな金慶喜ですから、北朝鮮の人々と朝鮮労働党幹部内では相当な権威を持っていたはずです。「白頭血統」信仰は根強いものがあるのです。
金慶喜は張成澤の職位剥奪は認めたが、会議の場での公開逮捕は知らされていなかった―激怒して金正恩に電話をしている最中、脳出血で倒れた―
康明道教授は張成澤の処刑は金慶喜の承認がなければ考えられない、このままで張成澤の権力が強くなりすぎてしまうので金慶喜は張成澤処刑を認めたのだろうとTV朝鮮(「朝鮮日報」のサイトで見ることができる)などで語っていました。
康明道教授が、ごく最近「朝鮮日報」のサイトにある「時事タンク」で最近逃げてきた労働党中央幹部から得た情報として次のように語っています。
金慶喜は夫張成澤の全ての職位をはく奪することは認めたが、張成澤を公開の場で逮捕し連行することまでは知らなかった。
これを知った金慶喜は激怒し、金正恩に電話をかけたがその場で脳出血により倒れた。これは12月8日である。翌日金慶喜は死去した。
張成澤は12月12日に処刑された。そのあと、金国泰という朝鮮労働党大幹部の葬儀委員に金慶喜の名前が出ていたが、これは張成澤の処刑を金慶喜が承認していると偽装するためである。
金慶喜の死亡経緯が北朝鮮の住民に漏れれば、衝撃はあまりにも大きい。金正恩は未だに金慶喜の葬儀もやれない。タイミングを見ているのだろう。
死体を冷凍し、最近亡くなったようにみせかけるだろう。金慶喜が植物人間のような状態で生きているなら、最高人民会議や金日成逝去二十周年の記念式典に名前だけでも出すはずだ。
現在、朝鮮労働党幹部内ではなぜ金慶喜が出てこないのか、相当不安になっている人は少なくないはずだ。
金正恩の周囲には張成澤処刑を主導した労働党組織指導部の「8人組」という連中が侍っているが、彼らと呉克烈、金基南、朴奉柱、崔龍海ら古参幹部の間には溝がある。
金日成、金正日に仕えた古参幹部は金慶喜と近い関係にあった。彼らは金慶喜の件でかなり金正恩に不満を持っているはずだ。
金正恩はいまだに金慶喜の葬儀もやっていない。これが決定的だ。
「8人組」が何かの件で失敗すれば、古参幹部はそれを理由に排除に動く
康明道教授は「時事タンク」でこのように予想しています。
確かに、金慶喜が名前すら出てこないのは異常です。少しだけでも動けるのなら金日成逝去二十周年の式典にちらりとでも参列すればよい。植物人間状態だとしても、名前を出すことはできる。
姿どころか名前も出ないようでは、労働党幹部だけでなく平壌市民も異常だと思うでしょう。
康明道教授が金慶喜の死亡について「時事タンク」で語ったところ、仲間の脱北者や、中国東北部の朝鮮族らから沢山の電話があったそうです。多くの人々は次のように語っていたそうです。
「これで、張成澤の処刑後北朝鮮当局がなぜ多くの一般国民に朝鮮中央放送で張成澤を糾弾させたかがわかった。金慶喜が生きていたら、夫を一般国民に糾弾させるわけがない」
北朝鮮の人々にとって、金正恩が叔母の葬儀も出せない人間であるということは決定的に重大なようです。金慶喜には実の子供がいませんから、金正恩が葬儀を出さねばならない。
東南アジアにいるらしい長男の金正男はもうこの知らせを聞いているでしょう。金正男も怒っているでしょうね。金正男は普通の感覚を持っているようです。流暢に英語を話します。
日本政府は対北朝鮮ラジオ放送で、金慶喜死亡説を紹介するべきだ
金正恩には後見人がいません。金正日が60年代中ごろ労働党中央に勤務するようになってから、「党中央」としての指導的立場を確立するまで十年近くかかりました。
金日成という強力な後ろ盾がいてもそれだけかかったのです。労働党組織指導部出身の8人組とやらが金正恩を心から尊敬しているはずがない。
妹金予正、異母姉金雪松くらいしか心底信頼できる幹部がいない金正恩には、相当な精神的重圧が常時あるはずです。最近、なぜかびっこをひいて歩いている映像が出ていました。
日本政府は、対北朝鮮ラジオ放送で康明道教授のこの話を一つの情報として流せば良いのです。海外衛星放送で特別番組を作って放映しても良いでしょう。
政府がそのような番組をやるならば、法改正が必要かもしれません。国会議員の皆様に、しかるべき対応を重ねてお願いします。
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