2014年1月26日日曜日

暴力団排除条例の基本理念「暴力団と交際しない」と「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)の路線

「指定暴力団と密接な関わりのある右翼と披拉致日本人救出のために連帯・協力する」は、東京都暴力団排除条例第3条(基本理念)「暴力団と交際しない」に逆行する―


穏やかに他人に受け答えしている方なら必ず信頼できるから、親密に交際して大丈夫でしょうか。

先日処刑された北朝鮮の張成澤は、穏やかな雰囲気の方だったようです。

いわば、「経済ヤクザ」のような人物だったのでしょう。山口組の若頭だった宅見勝も、「経済ヤクザ」として知られていました。

「経済ヤクザ」は知的なのです。知性がなければ大金を稼げません。宅見と会って話した方の本を読みますと、静かな雰囲気の中に強い意志を感じさせるものがあったように思えます。

溝口敦氏は宅見勝について、「堅気に対しては堅気の対応ができる。にこやかに受け答えして、暴力団臭をみじんも感じさせない」と述べています(「山口組五代目帝国の内なる敵」、竹書房文庫p232)。

被拉致日本人救出運動に暴力団関係者が参加している


「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」には、指定暴力団と密接な関わりのある右翼、暴力団の共生者ないしは暴力団の準構成員がいる旨、

本ブログでは何度も指摘してきました。

そのような方々も、普段は紳士的に他人に接しているのではないでしょうか。「経済ヤクザ」のようなお人柄なのかもしれません。

全ての暴力団は強力な威力を背景として金を稼ぎます。

張成澤は中国との取引での外貨稼ぎを得意としていました。相当な個人資産をもっていたはずです。

同時に、独裁者金正日の妹の亭主という権威と威力を背景にして、国家安全保衛部や朝鮮人民軍にも影響力を広げ、政敵とその周辺の人物を政治犯収容所送りにしてきました。

これは深化組事件という名前で知られています(五味洋治「金正恩を誰が操っているのか」、徳間書店p136)。

「経済ヤクザ」はいざというときに暴力団の威力を用いる―朝鮮商工人にも「経済ヤクザ」-


「経済ヤクザ」はにこやかに受け答えしつつも、いざという時に暴力団の威力を存分に用いて大金を稼ぐのです。

朝鮮商工人の中にも、そういう方がいくらでもいます。このあたりは、北朝鮮問題の専門家である西岡力氏(東京基督教大教授)はよく御存知のはずです。

そうであるなら、指定暴力団と密接な関わりのある右翼や、暴力団の共生者と思しき方と被拉致日本人救出のために連帯・協力するという、故佐藤勝巳氏が敷いた「救う会」の路線を、

西岡力氏(東京基督教大教授。現「救う会」会長)と島田洋一氏(福井県立大教授。「救う会」副会長)は抜本的に見直すべきではないでしょうか。

そんな路線は、各自治体が施行した暴力団排除条例の基本理念に大きく背いてしまいかねません。

暴力団排除条例の基本理念「暴力団と交際しない」


東京都暴力団排除条例の第3条の基本理念に

「暴力団と交際しないこと、暴力団を恐れないこと、暴力団に資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本とする」

旨明記されています。

暴力団と密接な関わりのある右翼団体に所属していても、暴力団の構成員でない方もいますが、準構成員とみなされる方は少なくありません。

暴力団の共生者と思しき方はいくらでもいます。


暴力団排除条例は暴力団の構成員ではない、暴力団関係者にも適用される


東京都暴力団排除条例の第2条の「定義」では、暴力団関係者を「暴力団員又は暴力団若しは暴力団員と密接な関係を有する者」と定義しています。

2条の五で、規制対象者のトとして次をあげています。

「一の暴力団の威力を示すことを常習とする者であって、当該暴力団の暴力団員がその代表者であり

若しくはその運営を支配する法人その他の団体の役員若しくは使用人その他の従業者若しくは幹部その他の構成員又は当該暴力団の暴力団員の使用人その他の従業者」。

この定義なら、被拉致日本人救出運動には暴力団関係者が何人も参加しているように私には思えます。

暴力団排除条例は、暴力団の構成員だけではなく、暴力団関係者すべてに適用していくべきなのです。

西岡力氏(東京基督教大教授)、島田洋一氏(福井県立大教授)はこれをよく御存知のはずです。

暴力団は運動家や被害者家族の個人情報を収集している


運動がなかなか普及せず、苦しかったときに物心両面にわたって支援してくださった方に手を引いていただく、というのは気持ちの上でも難しいものがあることでしょう。

元北朝鮮工作員の生活費などを支援してくださった方もいたのかもしれません。

しかし、暴力団排除条例の基本理念を尊重することが大事ではないでしょうか。

一般に、暴力団関係者は社会運動の参加者や被害者家族、その社会運動に協力する政治家、政府の担当部署の方々の個人情報を可能な限り入手し、

暴力団の幹部、「若頭」「若頭補佐」のような人物に報告します。

十数年も社会運動が継続しているなら、「若頭」「若頭補佐」のもとには、個人情報が満載されたファイルが存在しているのかもしれません。

「蜜蜂の罠」「カンパ費で飲食」に御注意を!


今後、何かの折に北朝鮮側が多少なりとも妥協的な姿勢を見せてきたとしましょう。

北朝鮮のインフラ整備を日本の主導でやってくれれば、数名の拉致被害者を返す、などという提案があるかもしれません。

外国での巨額の公共事業があるなら、暴力団にとってこんな素晴らしいビジネスチャンスはありません。

そのとき指定暴力団はそれまで蓄積してきた個人情報を存分に「活用」して大幅妥協するのはやむを得ない、という方向にもっていくことを狙っているのかもしれません。

個人情報としては、「蜜蜂の罠」のような情報が最も貴重でしょう。

あるいはカンパ費で飲食云々もよいかもしれません。それらを根拠にして、接触してくる人物がいるかもしれません。

運動家や被害者家族に穏やかに接する「経済ヤクザ」の実力を侮ってはいけません。

西岡力氏(東京基督教大教授)、島田洋一氏(福井県立大教授)の御尽力を期待します。

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