2020年3月15日日曜日

日本共産党中央委員会出版局「投降主義者の観念史観」(昭和61年)より思う―共産主義者は批判者を「反党分派分子」「反党分子」「人民の敵」「民族反逆者」とみなす―

この本で反党分派分子と規定されている方は、昭和60年当時東京大学の大学院生だった伊里一智氏(ペンネーム)です。


立憲民主党の山尾しおり議員が、立憲民主党として賛成を決めていた特措法改正に反対しました。

造反議員、とインターネットなどに出ています。立憲民主党のHPを見る限り、同党は山尾しおり議員への反論や批判を現段階では控えています。

これから処分するのかもしれませんが。

同じ左翼でも、立憲民主党と日本共産党では組織のあり方、動きが大きく異なります。日本共産党議員が同じことをやれば、必ず除名になる。

「反党分子」と規定され、「赤旗」に長い批判論文が出るでしょう。

春日庄次郎氏ら構造改革派、宮本顕治氏よりソ連に忠実だった志賀義雄氏を日本共産党はそのように扱いました。

近年では、日朝平壌宣言を支持する不破哲三氏を強く批判した萩原遼氏が除籍になりました。

萩原さんは「反党分子」という規定はされなかったようですが、「赤旗」に除籍処分にするという記事が出ました。

左翼には、立憲民主党や社民党、れいわ新選組のように社会民主主義もしくは市民派と呼ばれる流れと、レーニンの革命理論に忠実な共産主義者の流れがあります。

各国の共産党、労働党は後者です。

社会民主主義、市民派には、組織に造反した人物を特殊な用語で把握し、最悪の人物として宣伝せねばならない、という発想はなさそうです。

「投降主義者の観念史観」に「伊里一智氏の除名処分について」という文書(昭和60年12月7日)が掲載されています。

文書によれば伊里氏は規約に反する重大な反党分派活動を行い、党と人民の利益を裏切った最悪の反党分子です。

除名に至った経緯と理由がこの文書に記されています。

簡単に言えば、伊里氏が日本共産党第十七回大会に参加する方々に日本共産党を批判するビラを街頭で配布した事、「朝日ジャーナル」に日本共産党を批判する文章を掲載した事です。

これらは、日本共産党の外の出版物で公然と同党を攻撃する行為ですから、重大な規律違反です。

伊里氏は配布した文書の中で日本共産党の存在と両立しない反党分子との「共闘」を主張していますが、これは日本共産党を解体に導く行為だそうです。

反党分子、とは誰か


日本共産党の幹部、職員だったが、いろいろな経緯で日本共産党指導部を公然と批判するようになった方を日本共産党は除名します。

除名された方は以降、「反党分子」という呼び名を付けられます。

伊里一智氏の呼び名は「反党分派分子」ですから、「反党分子」より一段階、日本共産党を批判する水準が高いような印象です。

共産主義者は、自らを批判する人、集団を最悪の人間とみなし、不気味な名称をつけます。

中国では「右派分子」「走資派」という人々がいました。

「分子」という語は~の人々、という意味で用いているのでしょう。

旧ソ連では「富農」「ネップマン」「人民の敵」という人々が、最悪の人間とみなされました。

北朝鮮にも「反党分子」「宗派分子」という語があります。在日本朝鮮人総連合会では、「民族反逆者」という語が良く用いられています。

朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会を批判する在日朝鮮人は「民族反逆者」です。

日本共産党と庶民で共通する「利益」は存在するのか


「反党分子」とは、日本共産党と人民の利益を裏切った人物のようですが、日本共産党と人民の利益とは一体何でしょう。

日本共産党と、党員でない庶民とで共通する利益、の定義がない。言葉の定義がないから、共通する利益という実態の有無を調べる事すらできません。

日本共産党流の社会経済観では、庶民は米帝国主義と日本の独占資本により支配、収奪されています。

日本共産党は米帝国主義と日本の独占資本の支配から庶民を解放するために日夜尽力する偉人の集合体である、と同党の皆さんは信じています。

偉人の集合体を批判する伊里氏は、「反党分派分子」であり人民の利益を裏切った人物そのものだ、という話です。

偉人の集合体、と自分で思い込んでいるような団体が徐々に庶民から支持されなくなるのは当然です。

小池晃書記局長は春日庄次郎氏を再評価すべきだ


小池晃書記局長は「まっとうな政治家の条件は自分と異なる意見を持つ人への共感力である」という呟き(twitter)をしていました。

小池晃書記局長が日本革命は平和的な移行しかありえない、と考えているなら、春日庄次郎氏と同じです。

今日の日本共産党の理論では、反党分子春日庄次郎氏が宮本顕治氏より冷静な分析をしていた事になります。

小池晃書記局長がまっとうな政治家、なら反党分子春日庄次郎氏への共感力を持ち、第七回、第八回大会決定の荒唐無稽さを直視すべきです。








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