若い日本共産党員には、野坂参三さんがソ連のスパイだったから除名された、と考えている方が多いようです。
日本共産党品川区の香西かつ介さんが、twitterでそう主張していました。
これはスパイ、工作員という語をどう定義するかという問題です。
外国政府から資金を受け取ったり、活動方向を指導されている人物をスパイ、工作員と定義するなら、野坂参三さんだけでなく当時の日本共産党(国際共産党日本支部)はソ連のスパイ、工作員の集団です。
金日成、金正日と金正恩に絶対性、無条件性の忠誠を誓い、朝鮮労働党の対日担当部署の指導下にある在日本朝鮮人総連合会と関連団体の職員の皆さんもスパイ、工作員です。
勿論、この意味でのスパイ、工作員の方々が全員テロリストであるはずもない。
スターリンとソ連共産党、金正恩と朝鮮労働党に忠誠を誓い、日本のソビエト化やチュチェ思想化を目指して本などを読んでいるだけの方々は、テロリストではありません。
昔の日本共産党はソ連を盲信し、ソ連から資金と拳銃を受け取って内乱を起こそうとしていました。今の日本共産党も高く評価する32年テーゼは、内乱を訴えています。
ソ連のスパイだから除名だ、というなら、昔の日本共産党員は全員除名すべきでしょうね。昔の日本共産党の視点では、ソ連の指導で動くことは最大の栄誉でした。
野坂さんはソ連の秘密警察の協力者だった
小林峻一・加藤昭著「闇の男」(文藝春秋平成5年刊行)によれば、野坂さんはNKVDというソ連秘密警察の直轄下の協力者でした。
NKVDとは、北朝鮮で言えば国家安全保衛部(今は保衛省)のような組織です。
これはソ連崩壊後出てきた秘密文書より明らかになりました。
野坂さんはスターリンの指導下にある国際共産党(コミンテルン)の幹部でした。
野坂さんはソ連共産党からあらゆる支援を受け、ソ連の指導下で活動していたのですから上記の定義なら、ソ連のスパイ、工作員です。
野坂さんは仲間の山本堅蔵さんを怪しい、という手紙をソ連側に出していたことが秘密文書より明らかになり、日本共産党を除名されました。
当時、怪しげな人物の通報は共産主義者の任務だった
しかし怪しい奴を通報しろ、は当時の共産主義運動の最高指導者、スターリンとソ連共産党の方針でした。
国際共産党幹部なら、ソ連共産党の方針に従うのは当然です。通報が国際共産党の方針に反しているはずもない。
怪しく思える仲間を通報しなかったら、いずれは自分が通報されてしまいます。
野坂さんの通報は生き残るための選択だったのです。怪しい人物の通報は国際共産党幹部として当然のことでした。
同じようなことが、現代の北朝鮮でも繰り返されています。
小泉総理(当時)が訪朝したころ、北朝鮮側の中心だった人物はユギョン(柳京)という国家安全保衛部の幹部だったようです。
近年韓国に逃げてきた脱北者によれば、ユギョンは処刑されました。ソ連、中国、北朝鮮でどれだけの政治犯が処刑されてきたのでしょうね。
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