2014年6月14日土曜日

France Gall(仏女性歌手)について思う―夢見るシャンソン人形、Les Sucettes、Ella, Elle l'aそしてSerge Gainsbourg-

30年ほど前、アテネ・フランセに通いつつお茶の水の街を歩いていた


30年ほど前、私は早大政治経済学部の学生でした。なぜか一念発起してフランス語を勉強しようと思い、お茶の水にあるアテネ・フランセに少しだけ通いました。

今も、アテネ・フランセは同じ場所にあるのでしょうね。遠藤周作の「さらば夏の光よ」は、お茶の水近辺にある大学生の物語でした。

私がこの小説を好きな理由の一つは、古本屋街に近いお茶の水の街が好きだからかもしれません。文化の香りがするように思えます。

高校生の時、代々木ゼミの模試を明治大学で何度も受けました。早大入学後は、九段下から新御茶ノ水駅までの古本屋街を時折歩きました。

昨年夏くらいから遠藤周作とフランス文学、Albert Camusやフランス革命に関心が出てきたので、再度フランス語を少しずつ勉強し始めました。

外国語を学ぶための一つの方法は、好きな歌を覚えて下手でも口ずさむことではないでしょうか。私と同年代の方なら、子供の頃「夢見るシャンソン人形」を耳にした記憶があることと存じます。

France Gall(1947年生、「夢見るシャンソン人形」の歌い手)の歌を聴きながら


この歌が流行した1960年代後半当時は弘田三枝子が歌っていたようです。元はFrance Gallという1947年生まれのフランス歌手によるものです。日本では「団塊の世代」の方です。

France Gallの「夢見るシャンソン人形」をyou tubeで私はこの間、時折聴いていました。いつしか、France Gallの他の歌も好きになってきました。

France Gallは70年代後半から随分異なる調子の歌を歌うようになっていったことがわかりました。

France Gallの歌の中に、Ella, Elle l'a(Ella, She has got it)があります。これはElla Fitzgeraldという米国の黒人Jazz歌手に捧げた歌です。素晴らしい!

黒人の爆発的なパワーを感じさせるこの歌の映像も素晴らしい。モハメッド・アリの映像も出てきます。

「夢見るシャンソン人形」と随分違う曲調ですが、France Gallのリズム感の良さが良く出ていると感じます。

France Galは歌唱力というより、可愛らしさとリズム感が元々売り物の歌手だったのかもしれません。Ella, Elle l'aは1988年に夫君で音楽家のMichel Bergerがつくっています。

音楽家Serge Gainsbourgは歌詞に別の意味を込めていた


「夢見るシャンソン人形」は1965年にSerge Gainsbourgという音楽家により提供されています。

Serge Gainsbourgにより提供された曲がいくつもヒットしたようですが、インターネットを見るとSerge Gainsbourgは相当な曲者で歌詞の裏に性的な意味を込めることがあったようです。

特に知られているのは1966年のLes Sucettes(棒つきキャンディー)という歌です。単に歌詞だけを読めばキャンディーを好む女の子の歌なのですが...。

France GallがLes Sucettesを歌っていたのは10代後半ですから、何も知らなかったのでしょう。

you tubeでSerge GainsbourgがFrance Gallに「歌詞の意味がわかるのかい」という調子で質問している姿を私は観ました。France Gallは質問に対し歌詞の意味そのままに受けとめて答えています。

Serge Gainsbourgはそれに対しただ、「よろしい」というような答えをしています。ふてぶてしい表情の映像が残っています。

この件はフランスではかなり知られていたようで、私はyou tubeで近年のFrance Gallがどこかのテレビ番組でインタビューに答えている姿を観ました。

私のフランス語の力では、France Gallのインタビューをそのまま聞き取るのは大変ですが、幸い英語の字幕が出るものがあります。それならわかります。

France Gallは当時は何もわからなかったが、性的な意味を知って男性不信のようになってしまったと答えていました。つくづく、ひどい話です。

France Gallはその後、Serge  Gainsbourgと決別しました。しかし、この歌を歌ったこと自体は一切後悔していないと近年のインタビューで語っています。

夫のMichel Bergerとともに活躍したが...


夫のMichel BergerとともにFrance Gallはいくつもヒット曲を出しました。Ella, Elle l'aは相当流行したようです。

この歌は近年、ベルギーの歌手Kate Ryanや仏の若手歌手Alizeeも歌っています。Michel Bergerは残念なことに1992年に44歳の若さで、France Gallと二人の子供を残して亡くなってしまいます。

心臓発作だったようです。ところで、Michel Bergerの妻に対する愛については死後に暴露本が出て疑問視されています。この件についてはまたの機会に書きましょう。

France Gallは歌手としては大成功したのでしょうが、信じていた男性に次から次へと裏切られ、心の奥底で深い悲しみをかかえて生きてきた方なのかもしれません。

それにしても、Ella, Elle l'aは素晴らしい。深い悲しみを抱えてどこかの街並みを歩く人を立ち直らせるようなメロディーです。France Gallが夫と精一杯生きた証ではないでしょうか。

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