松竹伸幸さんは、日本共産党本部の政策委員会という部署に長くお勤めだった方です。
松竹伸幸さんはブログで、日本共産党の平和理論の背景にある米帝国主義論が変化している旨、説明しています。
野党政権と共産党綱領の諸問題・7 | 松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp)
松竹伸幸さんによれば、現在の日本共産党綱領は、独占資本主義体制のままでも平和的な体制は可能と見ています。
独占資本主義国でも帝国主義とは必ずしも言えないというなら、今の日本共産党の米帝国主義論はレーニンが「帝国主義論」などで批判したカウツキーの見解に近い。
レーニンによれば、カウツキーは帝国主義国による世界各地域の併合を金融資本が好んで用いる政策と定義しました。
カウツキーの帝国主義理論なら、経済における独占が政治における非独占的、非暴力的、非侵略的な行動様式と両立できることになります(レーニン全集第22巻、p312)。
不破さんは日本共産党第23回大会でカウツキー流の帝国主義論を報告した
松竹さんがブログで紹介しているように、不破さんはは平成16年の第23回大会で、ある国を帝国主義と呼ぶためにはその国が独占資本主義だというだけでなく、その国の政策と行動に侵略性が体系的に表れているかどうかを基準にすると述べました。
これは、レーニンが指摘した通り経済における独占が政治における非独占的、非暴力的、非侵略的な行動様式と両立できるという見方です。
松竹伸幸さんなら、不破さんの帝国主義論はカウツキーと同じだな、とすぐわかったのではないでしょうか。
日本共産党員、同党を支援する経済学者はこれに気づいていても、不破さんをカウツキー主義者と評すると厄介なことになるから黙っているのでしょうね。
日本共産党はカウツキー流の帝国主義論を唱えたマルクス主義経済学者を修正主義者と強く批判してきました。
宇野三郎さんは森田桐郎教授の説を修正主義と批判した
例えば宇野三郎「日本経済と『帝国主義論』」(新日本出版社昭和54年刊行)の第二章「修正主義者による帝国主義復活論争の『再検討』」があります。
宇野三郎さんはここで、森田桐郎教授(東京大学)の理論は修正主義だと批判しました。
宇野三郎さんによれば、森田桐郎教授の理論は、同じ独占という経済的基礎の上にある場合には軍事大国としての道、他の場合には非帝国主義的な平和への道が成立しうるとするカウツキー的独占弁護論です(同書p93)。
松竹伸幸さん、石川康宏教授なら宇野三郎さんのこの本を読んでいるでしょう。
今の綱領を信じる日本共産党員はカウツキー、森田桐郎教授の説が正しかったというべきではないでしょうか。
松竹伸幸さんがブログで日本共産党による米帝国主義論の変遷について論じるなら、今はカウツキーの帝国主義論と酷似している事も指摘すべきではないでしょうか。
中朝露の政策と行動には侵略性が体系的に表れている
そもそも、発展途上国でもその国の政策と行動に侵略性が体系的に表れている場合もあるのです。
現在なら北朝鮮、朝鮮労働党はその典型です。中国やロシアは独占資本主義というべきでしょう。ロシアはマフィア資本主義、という表現がより適切なようです。
中国共産党、プーチン政権の政策と行動には侵略性が体系的に表れているとしか、私には思えません。
金融資本が戦争の源である、というレーニンの帝国主義論が間違っていたのですよ。昔のソ連や中国、北朝鮮には金融資本、などありませんが侵略戦争を断行してきました。
朝鮮戦争は朝鮮労働党、中国共産党による大韓民国への侵略です。中国共産党はベトナムを懲罰すると称して侵略し、現地取材中だった高野功赤旗記者を射殺しました。
大日本帝国の政策決定に、財閥はほとんど影響を及ぼしていない。
日清日露戦争、満州事変、日華事変どれも、財閥は殆ど関係がない。
山本薩夫の映画「戦争と人間」は財閥が主導して満州国が形成されたかのような印象を与えますが、これは映画です。
この映画には満州が取れればなんとかなる、という庶民の声が描かれていました。一昔前の左翼人の思想形成には、この映画が大きな影響を及ぼしたと考えます。
帝政ロシアの南下政策に、金融資本がどう関係していたというのでしょうか。
レーニンの帝国主義論にはその説明はありません。米英仏独についても同様と私には思えます。
日本政府が集団的自衛権を行使することに、殆どの大企業経営者は特に関心を持っていない。
集団的自衛権行使を推奨する、という経営方針を保持している大企業など存在しないでしょう。
ある国の政策と行動に侵略性が体系的に表れているのなら、その国を主導する政党や集団が保持し流布している世界観、歴史観に注目すべきです。
それらが侵略性を正当化し、多数の国民が支持しているからその政策と行動が成立しているのです。
「宇宙戦争」で有名な英国作家H. G. ウェルズはレーニンに会ったとき、大略このように述べました。「影のなかのロシア」(みすず書房)にそう記されています。
ウクライナ攻撃、侵攻を支持するロシア国民は少なくないのではないでしょうか。
台湾攻撃、侵攻や香港への国家安全維持法適用を支持する中国国民も少なくないと私には思えます。
自主権擁護の聖戦、と称して金正恩が日本に核ミサイル攻撃を断行したら、祖父と父親にもできなかった偉業を金正恩元帥様はやった、まさに絶世の偉人、民族の英雄だという話になりそうです。
韓国左翼なら日本への核ミサイル攻撃をそう評価するでしょう。
日本共産党の平和理論なら、日米安保強化、憲法改正を批判する中朝露は大局的には平和勢力です。
昭和36年の第八回大会で制定した綱領には、ソ連など社会主義国は平和地域と規定されていました。
日米安保が戦争の根源だというのですから、根源を徹底批判するという一致点で日本共産党は中朝露と共闘できますね。
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