2013年12月31日火曜日

中国が北朝鮮に約10億ドル(1050億円)支払い拒絶か(産経新聞12月29日記事)-北朝鮮、暴力団の内部抗争はどう始まるのか-

金が入らなくなると、北朝鮮や暴力団では内部抗争が始まる


金の切れ目は縁の切れ目、ということなのでしょう。

北朝鮮と暴力団の行動方式は似ています。金が入らなくなると内部抗争が始まります。

北朝鮮の場合、金というより外貨です。北朝鮮の通貨では高級物資を購入できませんから。

外貨を何とかして稼ぎ、首領様から立派な人物と認められるか否かが、幹部の重要関心事項です。

北朝鮮と暴力団には共通点もありますが、暴力団の構成員ではない「暴力団の共生者」あるいは「経済ヤクザ」とは多少異なる面もあるように思えます。以下、説明します。


長期的な取引による相互の利益享受-「経済ヤクザ」「暴力団の共生者」-



暴力団も様々な形式の脅迫により金を得て、組の上層部に毎月金を上納せねばなりません。

外貨稼ぎ、シノギ(暴力団用語で、金を稼ぐこと)が行き詰まると、幹部は部下ないしは組織の別部門に責任を擦り付けます。

金に行き詰まったとき暴力団構成員は、周囲にいる共生者により多くの金を何かの理屈で要求してくることもあるでしょう。

「暴力団の共生者」は、暴力団構成員の要求を断りにくいのです。普段は暴力団員の威力を利用して諸業務を行っているのですから。

彼らは周囲の人から何らかの理屈で金を巻き上げようとします。これに屈服すると、以後ずっと何らかの形で金を献上せねばなりません。

「暴力団の共生者」は、脅かしだけでは長続きしないことがわかっていますから、何らかの正業により周囲の人と商取引を行います。

正業での取引なら、警察、国税庁は手出しができません。

暴力団構成員ではない「暴力団の共生者」は、芸能事務所や遊興業、あるいは風俗業の優秀な経営者という一面も持っていることが多いのです。

「暴力団の共生者」は、ビジネスを十分理解していますから、長期的取引により相互で利益を享受しようとします。「経済ヤクザ」という語があります。

優秀な暴力団幹部なら、「経済ヤクザ」としての一面もあるはずです。


「他人の考えを押し付けられた」ことにより血で血を洗う抗争



あるいは、「この金は本来、俺のところに入ってくるべきものだ」と考えていたのに、上層部の何かの思惑で他の人間に金が回されてしまうと、恨みを持ち実力行使という場合もあるでしょう。

このビジネスをやるためには、ある人物の協力が必要だと考え要求したのに、断られた。その人物のせいで自分の生きる道が塞がれた、などと曲解し、復讐をする場合もあるでしょう。

米国映画The Godfatherでは、トルコ出身の麻薬業者Virgil Sollozzoが覚せい剤を米国で売りさばくため、首領Don Corleoneに政治家の懐柔を依頼します。

Don Corleoneが依頼を拒否したことにより、麻薬業者Sollozzoは自分のビジネスが円滑にできなくなりました。

SollozoはDon Corleoneにより考え方を押し付けられ、自分の誇りが傷つけられたとみなします。

そこでSollozoは刺客を放ちます。血で血を洗うような抗争が始まります。

北朝鮮と暴力団、 Mafiaだけでなく、中国の高級幹部間でも同様のことがありそうです。

張成澤処刑の背景のひとつは人民軍が石炭や鉄鉱石など外貨稼ぎができる部門を張成澤に押さえられてしまったことのようです。


北朝鮮が中国に輸出した鉱物などの売掛金10億ドル(約1050億円)の支払いが停止状態に陥っている(産経新聞12月29日記事)



産経新聞記事通りなら、中国側から北朝鮮に支払いを拒否しているようです。中朝貿易に携わってきた北朝鮮側の担当者が姿をくらまし、担当者としてのサインができなくなってしまいました。

中国側企業は、担当者不在を理由に支払いを保留しています。未決済額が海産物を含めて計10億ドルに上ると記事は述べています。

北朝鮮は人民軍系の職員を現場に送って事態収拾を図っていますが、中国側は「新参代理人には契約を履行できない」と拒絶しているそうです。


中国側企業は北朝鮮の足元を見ている-北朝鮮は地下資源を他に売れない



中国側企業は、北朝鮮が他に地下資源を売ることなどできないことを知っているのです。担当者が出てくるはずもないこともわかっているのでしょう。

中国側には、朝鮮族の人間がいるのでしょう。張成澤の影響下にある人物と取引をしてきた朝鮮族なら、その程度の判断ができるはずです。

担当者が出てこなければ、代金をいつまでも支払わずにそのままにしてしまうかもしれません。北朝鮮には地下資源の売り先が他にないのですから、どうしようもありません。

人民軍系担当者が出てきても同じ結果になるだけです。平壌の上層部が何をどう言おうと、中国側が契約改訂に応じるはずがありません。

そうすると、平壌の上層部は人民軍系担当者に責任を擦り付けることになるのでしょうか。人民軍と労働党組織指導部の抗争になってしまうかもしれません。

張成澤一派は、中国側の朝鮮族の担当者とうまく取引をして何とか契約を成立させ、外貨を得てきたというのが実態でしょう。

平壌の上層部や朝鮮人民軍大幹部には、中国とのビジネスの現場の厳しさが全くわかっていないのです。12月13日の朝鮮中央通信を読んでそう思いました。


中国を敵対視した朝鮮中央通信(12月13日)-平壌で内部抗争が遠からず生じる-



以下の記述は、中国最高指導部を暗に批判し、敵対視するものと読めます。


Jang dreamed such a foolish dream that once he seizes power by a base method,

 his despicable true colors as "reformist" known to the outside world would help his "new government" get "recognized" by foreign countries in a short span of time.


政権を掌握したあとには、自分が外部世界に改革者として知られているから、諸外国は自分をすぐ承認してくれるだろうと張成澤は浅はかな夢を見ていた、という内容です。

「改革」とは、中国の経済改革・開放でしかありません。それなら諸外国の第一は中国です。

中国は敵だ!という平壌の上層部の意思を読み取ることができます。


張成澤は「経済ヤクザ」-長期的な取引ができる人間だった-



完全な敵とは、長期的な取引関係が成立しません。北朝鮮との「商売」はいつもこんな調子です。朝鮮商工人の皆さんはこの件、よくご存知ですね。

北朝鮮には、「暴力団の共生者」「経済ヤクザ」のような長期的視点がないのです。中国とビジネスをやってきた張成澤には、「経済ヤクザ」のような一面がありました。

広域暴力団の大幹部で、内部の人間により殺られてしまった某人物と張成澤は似ているように私には思えます。

担当者が変わったということで即金すなわち現金決済を要求すれば、中国側は破格の安値でしか地下資源を買ってくれないでしょう。中国側は別のところから石炭や鉄鉱石を買えますから。

平壌の三代目首領に献上される外貨が激減する可能性が出てきました。

平壌で、血で血を洗うような内部抗争が遠からず始まりそうに思えます。○○組でもそうでした。








 




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